歯並びで悩む方は意外と多いですが、その中でも叢生で悩んでいる人も少なくありません。
叢生とは歯が重なり合ってデコボコになっている状態の事で、日本人の不正咬合の中でも叢生が最も多いという調査結果が出ています。
この叢生を気付かれずに治すためにインビザライン矯正をしたいと思う人も増えていますが、本当にインビザラインで治るのでしょうか?
そこで今回、この記事はインビザラインで叢生が治るのかというところから、その症例や叢生になってしまう原因など、インビザラインと叢生についてをご紹介していきます。
Contents
1.インビザラインで叢生は治るのか?
結論から言うと、叢生はインビザラインで治療することができます。
そもそも叢生とは、乱杭歯(らんぐいば)とも呼ばれており、歯列がガタガタになっており、ところどころで重なっているような状態の事を指すもので、八重歯も実は叢生の一種となります。
現在の歯列がどのような状態なのか、それによって抜歯の有無の違いもありますが、歯列のアーチを広げたり、歯全体を後方に下げる等の処置で矯正を行うことができます。
以前は抜歯を行うとインビザラインでの矯正は難しいと言われていましたが、最近ではワイヤー矯正との併用を行うことで、抜歯が必要な場合でもインビザラインを使う矯正することができるようになっています。
ちなみに、インビザラインとワイヤーの併用については下記記事でご紹介していますので参考にしてみてください。
「インビザラインとワイヤーの併用とは?概要や効果・注意点を解説!」
ですので、必ず抜歯が必要というわけではありませんが、抜歯が必要な場合でもインビザラインを使い矯正を行うケースも増えています。
2.インビザラインで叢生を治療した症例
実際にインビザラインで叢生を治療した症例をいくつかご紹介します。
ちなみに、今回は下記パターンで分けてあります。
- 抜歯が必要な症例
- 抜歯が不必要な症例
抜歯が必要な症例
症例①
この症例は20代の男性で、2年前からインビザラインを行っているそうです。
上の前歯と犬歯(八重歯)の間が後ろに引っ込んでいるのと、下の歯にもデコボコが見られます。
この方の場合は綺麗な歯列にするために、上下共に左右2本の歯を抜いており、抜いたスペースに犬歯が入り込むようにしながら、全体的に歯列を整えて治療しています。
この画像の時はまだ治療途中ではありますが、歯並びは格段に良くなっています。
この方は次に、噛み合わせの調整と保定を終えて終了になります。
症例②
この症例は26歳の女性で、治療期間は約2年です。
八重歯と前歯のデコボコが気になって矯正を決意したようで、左の上から2枚目の画像を見ると、確かに八重歯が前に出てきてしまっているような印象を受けます。
また下顎の右側も多少歯並びが悪くなっており、これも含めて治療に入っています。
この方の場合は上の左右の犬歯2本と、下の左右の小臼歯2本、計4本を抜歯しており、空いたスペースを使い歯列を整えています。
治療後は歯列が美しいアーチを描いており、叢生の面影が全くありませんよね。
症例③
この症例は24歳の女性の方で、こちらも約2年間の矯正期間をかけて叢生を治療しました。
上下ともに前歯の歯並びがガタガタしており、それ以外はとても綺麗な歯並びですよね。
この方は、上下共に左右の小臼歯、合計4本を抜いており、抜歯により空いたスペースを使い、歯を後ろに下げて矯正を行っています。
その結果、叢生ではなくなり、かなり綺麗に歯並びになりました。
このように、抜歯が必要な状態でもインビザラインを使い、叢生を治療することは可能です。
それでは次に抜歯をしない症例についてご紹介していきます。
抜歯が不必要な症例
症例①
こちらの症例は19歳の女性で成人式までに叢生を治療したいと思い、治療期間に関しては約2年かかっていますが、無事治療を終えることができています。
上下の歯並びがガタガタしているという事で矯正を始めましたが、特に目立つのは上の左側の犬歯(八重歯)ではないでしょうか?
また、下の歯も少しガタガタしている印象があります。
治療方針として、抜歯をせずに矯正を行ったので、歯列のアーチを広げ、スペースを作ることで叢生を治療、見事綺麗な歯列になることができました。
症例②
こちらの方に関しては、詳しい情報の記載はありませんが、前歯のあたりに軽度の叢生が見られます。
抜歯なしで、歯列のアーチを広げることでスペースを作り矯正を行っているのが症例写真からわかります。
治療期間は2年7ヶ月とすごく長くかかってしまいましたが、綺麗に歯列になった後で口元が下がるなどの変化はなく、治療を終えているようです。
症例③
こちらの方は大学生の男性の方で、下顎の部分が叢生となっています。
このクリニックの場合、通常であれば抜歯を検討するケースではありましたが、患者さん側の希望で、できれば抜歯をしたくないということで、抜歯をせずに叢生の矯正を進めることになりました。
その結果、真ん中の写真を見るとわかりやすいのですが、歯列のアーチが大きく広がり、抜歯をせずに綺麗になっております。
治療期間としては1年10ヶ月と、これまでご紹介してきた症例の中では一番短い期間となっています。
このように、状態や本人の希望によっては抜歯をしないまま、インビザラインで叢生を治すこともできます。
3.叢生になってしまう原因
そもそも、叢生になってしまう原因としては下記の3つが挙げられます。
- 先天的な要因
- 後天的な要因
- どちらも併せた要因
先天的な要因
先天的な要因としては、「顎の大きさ」や「歯の大きさ」が関係してきます。
例えば、歯の大きさに対して顎が小さいなど、それぞれの大きさのバランスが取れていないと叢生になってしまう可能性があります。
このバランスは人の意志でどうにかできる物ではないので、先天的な叢生は仕方がないとも言えますね。
後天的な要因
後天的な要因としては、乳幼児期に虫歯などで歯を抜いてしまった、指しゃぶりなどを続けていた、などの原因で叢生になります。
永久歯が生える前に何らかの原因があって叢生になってしまうと、自力で回復するのは非常に難しいです。
その為、親御さんが気がついた時点で早めの対応が必要になります。
どちらも併せた要因
先天的な要因を持ちつつ、後天的な要因も重なって叢生になってしまうのがこのパターンです。
この場合だと重度の叢生になってしまうケースも多いと言われています。
また、叢生になってしまうと下記のようなデメリットもあります。
その為、できれば乳幼児期に早めの対処をし、叢生を防ぐことが一番ではありますが、叢生になってしまった、もしくは自分は叢生かもしれないという場合でも、矯正は行った方が健康に対しても良いと思います。
叢生を治療せずにそのまま放置してしまうと、歯ブラシで磨きにくい為食べかすや歯垢が残ってしまい、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。 また、歯に汚れが付着している状態のままなので、口臭の原因になってしまう事があります。
4.インビザラインで叢生を治療するメリット・デメリット
インビザラインで叢生を治療するメリットとデメリットを簡単に表にしてみました。
メリット | デメリット |
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インビザラインの一番の特徴として、「目立ちにくい」という部分があります。
これにより、例えば人と接するようなお仕事をしていても、気付かれる心配が少なく、また取り外しが自由にできるので、重要な場面や結婚式などの大切なイベント時にはマウスピースを取り外すことができます。
その為、誰にも気付かれずに叢生を矯正することも不可能ではありません。
しかし、インビザライン自体は保険が適用されない自由診療となってしまうため、クリニックによってかかる費用が違うという事、また、1日に平均して20時間以上の装着が必要となります。
また、重度の叢生の場合は、クリニックや医師の経験、知識によってはインビザラインでの治療ができないと判断されることがあります。
その為、インビザラインで叢生を治療する際は費用面や症例を考えて、いくつかのクリニックを受診することをおすすめします。
インビザラインの歯科医院選びに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
「インビザラインの専門医とは?信頼できる歯科医院を選ぶための資格」
「インビザラインのHPや口コミで絶対にチェックしておきたい4つの事」
5.まとめ
今回ご紹介した内容をまとめると下記のようになります。
- 抜歯あり、抜歯なしに関わらずインビザラインで叢生を治療することができる
- 重度の叢生の場合、クリニックによってはインビザラインの治療ができない可能性がある
- インビザラインで叢生を治療したい場合は、いくつかのクリニックを受診する
叢生は日本人が悩む歯並びの中でも一番多い症例です。
その為、治療症例の多いクリニックでは、叢生の治療ケースも豊富にある可能性もありますので、過去の治療症例も参考に歯科医院を選び、叢生を治療するのも良いかと思います。
また、インビザラインで他の症例についてはこちらの記事でご紹介していますので参考にしてみてください。
「インビザラインは症例によっては矯正ができない!?その真実とは」