治療とはいえ、歯医者で歯を抜きたいと思う人は少ないですよね…!
しかし、綺麗な歯列にしたいと考えた場合、抜歯が必要という診断になるかもしれません。
そんなとき、どうして必要なんだろうとか、どこの歯を抜くんだろうなど、知らないことがたくさんあると不安になりますよね…?
そこで今回は、目立たない矯正のインビザラインと抜歯について、そもそも抜歯が必要でもインビザラインができるのかというところから、抜歯をするメリット・デメリットなど、インビザラインと抜歯の知識をご紹介しておきます。
自身の症例や歯科医師の判断で抜歯が必要となってしまった時に、不安が少しでも無くなるよう、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
Contents
1.抜歯をしてもインビザラインはできる?
結論から言うと、抜歯をしてもインビザラインで治療することはできます。
インビザライン治療を行う上では、主に小臼歯を抜歯し、空いたスペースを利用する目的で歯を抜きます。
しかし小臼歯を抜く、というのはあくまでも一般的にはという話ですので、症例や治療方法によっては親知らずなど、他の歯を抜く場合もあります。
そもそも、元々インビザラインは抜歯症例に対応できないと言われていました。
しかし近年、インビザラインのマウスピースに使用される素材が改良され、ポリウレタンというプラスチック素材になったことで粘弾性が上がり、歯との相性が良くなったことで、抜歯をしても歯を移動させることが可能となりました。
しかし、材質が変わったとはいえ、抜歯をするだけで治療の難易度は上がるため、今でも歯科医院によっては「インビザライン治療を行うなら抜歯はできません」というところもあります。
もちろん、抜歯を行わなくてもインビザラインで矯正する方法はあるため、抜歯お断りの歯科医院が技術不足というわけではありません。
その為、抜歯をしたくない場合には歯科医院の方針としてなるべく抜歯しないと定めているところもありますので、そのような歯科医院で治療を受けると良いでしょう。
それでは次に、インビザラインの抜歯症例をいくつかご紹介します。
2.インビザラインでの抜歯症例
今回ご紹介する抜歯症例は下記の3つになります。
- 本郷さくら矯正歯科
- アクイユ矯正歯科クリニック
- 銀座クリアデンタル
それではご紹介していきます。
症例①:本郷さくら矯正歯科
引用元:本郷さくら矯正歯科
この方は前歯のガタガタが気になり治療を受けに来たそうで、治療期間は約2年です。
抜歯した歯は、上あごの左右の犬歯と、下あごの左右の第一小臼歯になります。
矯正前は本人も気にしていた通り、上あごの前歯、特に犬歯が不自然な場所にいますし、下あごの歯並びもアーチがゆがみ、歯の方向もズレています。
しかし、抜歯をする事でスペースを確保でき、歯並びは格段に綺麗になっています。
症例②:アクイユ矯正歯科クリニック
引用元:アクイユ矯正歯科クリニック
この症例は25歳の女性の方で、治療期間は約1年8ヶ月ほどです。
抜歯した歯は上下左右の第一小臼歯を抜きました。
治療中の写真を見ると確かに抜歯した部分に空間があるのが分かります。
この空間を利用し、アーチを整え、綺麗な歯並びになるまでには時間がかかりますが、この方はきちんとインビザラインを装着し、見事綺麗な歯列になりました。
症例③:銀座クリアデンタル
引用元:銀座クリアデンタル
この症例は14歳の中学生の女の子で、口元の突出した感じを改善したいという事で治療を始めました。
抜歯した歯は上下左右の第一小臼歯、計4本になります。
子供のインビザラインの場合、インビザラインの装着時間を守れないというケースが多く、治療結果が良くないという事はあるのですが、この方はしっかりとインビザラインを装着していたので、約11ヶ月ほどで治療がおわりました。
また、治療計画通りに進んでいたため、マウスピースを追加することもなかったとのことです。
以上が、抜歯を行ったインビザライン矯正の症例です。
3.抜歯を行うメリット・デメリット
抜歯を行うメリットとデメリットを簡単に表にしてみました。
メリット | デメリット |
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抜歯を行う目的としては、歯の移動を助けるためであり、抜歯を行うことで非抜歯で無理して矯正を行うよりも簡単に、歯列を整えることができますし、治療がシンプルになりますので、治療期間の短縮にもなります。
また、歯の本数が減りますので、口元が出ている状態でも改善することができるというメリットがあります。
しかし、デメリットとして、健康な歯を抜くというのが一番大きな部分になります。
また、歯の本数が減ることで、食事などの際に歯一本一本にかかる負担が少し増えてしまいます。
そして、抜歯を行うことで腫れや痛みが伴う場合もあります。
健康な歯を抜きたくない、抜くのが怖いという人は多いとは思いますが、とはいえ、デメリットの一方で大きなメリットもありますよ。
4.インビザライン矯正中に抜歯を行うと目立つ?
抜歯を行うと目立つかも、と思う人も多いと思いますが、実はあまり目立ちません。
理由として、歯を抜いた場所に、ポンティックと呼ばれる歯と同系色のプラスチックの仮歯を入れることができます。
引用元:ねもと歯科クリニック
その為、抜歯を行って非常に自然に見えますし、そもそも小臼歯を抜く場合、注意深く口元を覗かれない限りは分からないという場合が多いです。
ポンティックは治療が進んでいき、隙間が無くなってきた段階で取り外すことができますので、自然な見た目で治療を進めていくことが可能です。
5.インビザラインにおける抜歯の失敗
抜歯に失敗したケースとしては下記のようなものが当てはまります。
- 噛み合わせが合わない
- 正中が合わない
一つずつご紹介していきます。
噛み合わせが合わない
抜歯を行いインビザライン治療を進めていった結果、噛み合わせが合わないというケースがあります。
噛み合わせが合わなくなると下記のような症状が起こる可能性があります。
人間が噛み合わせによってバランスをとるのですが、噛み合わせが合わないと頭のバランスが崩れ、そのバランスを取るために身体に負担がかかってしまうという理由で、このような症状が発生します。
その為、治療を進めていくうちにこのような症状が出た場合、歯科医師に噛み合わせの確認を行う必要があります。
正中が合わない
正中とは歯の中心の事を指しますが、上あごの正中と下あごの正中がズレている場合、抜歯を行ったのが原因という事も考えられます。
歯並びが左右対称である方が理想的な歯並びだという人は非常に多い為、厳密に言えば完全に左右対称になることはないのですが、なるべく左右対称に見せるために、正中を基準として歯列矯正を行っていきます。
正中がズレているだけで、顔の印象はかなり変化があり、その例がこちらになります。
引用元:まきの歯科矯正クリニック
せっかくの審美歯科でありながら、正中がズレてしまった事で審美的に満足いかないというケースもあるので、少しでも心配な事があれば歯科医師に相談しましょう。
それでは次に、抜歯を行いたくない方のために、抜歯を行わずにスペースを確保する方法をご紹介します。
6.抜歯以外のスペース確保方法
抜歯を行わずに、歯の移動スペースを確保する方法としては、以下のような方法があります。
- 歯を削る
- アーチを拡大する
- 歯を後方に移動する
それではこちらも一つずつご紹介していきます。
歯を削る
いくつかの歯を削っていくことで、少しずつスペースを作っていく方法があります。
歯を削る事を「IPR(ディスキング)」と呼び、歯を覆うエナメル質を0.2mm~0.5mm程削り、その作業をいくつかの歯に施すことで、スペースを確保することができます。
虫歯治療と違い、エナメル質しか削らないため痛みも少なく、抜歯と併用して行われる事もあるくらい、比較的良く行われるスペース確保方法です。
IPRに関しては、別の記事で詳しくご紹介していますので、そちらを参考にしてみてください。
「インビザラインでは歯を削ることがある!歯を削るIPRとは?」
アーチを拡大する
歯列のアーチを大きくすることで、スペースを作り歯の移動を可能にする方法です。
非抜歯を推奨している歯科医院や、抜歯を行いたくない!という人の多くに取られる方法です。
しかし、注意点として、難しい症例に対してはアーチを広げることができないという場合もあります。
歯を後方に移動する
奥歯を後方に移動することで、スペースを作り歯の移動を可能にする方法があります。
奥歯を後方に移動させるために、親知らずを抜歯するというケースもありますので、その場合は、抜歯をしないという方法ではなくなってしまいますが、後方に下げることで少しずつスペースを詰めていく方法です。
以上が、抜歯を行わずにスペースを作る方法です。
7.まとめ
今回この記事でご紹介した事をまとめると下記のようになります。
- インビザラインは抜歯しても治療できる
- 抜歯を行う目的は、歯の移動スペースの確保
- 基本的には小臼歯を抜くが、症例や治療方法によっては別の歯を抜くこともある
抜歯を行わずに治療を進めるよりも、思い切って抜歯を行ったほうが歯列は綺麗になる場合もあります。
歯科医院によっては治療前の診断で抜歯ありのシミュレーションと、抜歯なしのシミュレーションを出してくれるところもありますので、これからインビザラインを行うという人は事前に歯科医師に聞いてみましょう。