インビザラインでは歯を削ることがある!歯を削るIPRとは?




虫歯治療なんかでイメージしやすい「歯を削る」という行為、どことなく嫌ですよね…

歯を削る音が苦手という人も少なくないですし、音のせいで歯医者が嫌いになってしまったという人のいるかと思います。

ただ、インビザラインでも歯を削ることがあるのです。

そこで今回は、インビザラインのIPR(歯を削る治療法)について、その概要や歯を削るタイミング、IPRのメリット・デメリットなど、インビザラインで歯を削る場合のあれこれについてをご紹介します。

インビザラインでの矯正においては比較的良く使われる治療法ですので、ぜひこの記事を参考にしてください!

1.インビザラインで歯を削ることがある

結論から言うと、インビザラインで歯を削ることはあります。

そもそも、インビザラインにおいて歯を削る目的としては、スペースを確保するためです。

インビザライン自体は歯を動かすための装置ですが、動かすためのスペースが無ければ歯を動かすことも難しいですよね。

スペースが無いと矯正できない

そのため、歯を削りスペースを作ることで歯の移動を可能にし、インビザラインを成功に導いてくれます。

2.IPRとは?

IPRとは歯を削る事を指し、「ストリッピング」や「ディスキング」とも呼ばれることがあります。

日本語では「歯冠隣接面切削」と言い、歯と歯が接している部分を約0.2mm~0.5mm程削っていくこと治療法です。

約0.2mm~0.5mmは、歯一本に対しての値で、これをいくつかの歯に施していくため、一つの歯自体を削る量は微々たるものですが、空いたスペースは大きなものになります。

実際に空いたスペース

また、虫歯治療の際に歯を削る場合と違い、インビザラインにおけるIPRでは大きく削ることはないため、虫歯治療とは違い、麻酔や痛みがなく処置自体の時間も数分で終わります。

IPRはリスクの少ない方法

これがインビザラインで歯を削る場合に行うIPRの概要になります。

3.IPR実施のタイミング

IPRを実施するタイミングはインビザライン治療前に出される3Dシミュレーションや、歯科医師の立てる治療計画を基に決定されます。

医師によってIPRをいつ行うか決定する

ただし、複数本の歯を削る場合、一気にIPRを行うのではなく何回かに分けて行う必要があります。

理由として、矯正が進みある程度歯並びが揃ってからでないとIPRを行う事ができないからです。

IPRのタイミングは歯並びが揃ってから行う事もある

そのため、事前にどのタイミングでIPRを行うかを知ることができますが、複数回に分けて歯を削っていくことが多いです。

4.IPRのメリット・デメリット

IPRのメリットとデメリットを簡単に表にしてみました。

メリット デメリット
  • スペースを作ることで歯並びを良くできる
  • 上下の歯の大きさのバランスを改善する
  • ブラックトライアングルを改善する
  • 上下顎前歯の傾斜を改善する
  • 治療後の歯の後戻りを防止する
  • 歯を削る
  • 作れるスペースの量には限界がある
  • 歯肉炎がある場合、出血や歯肉に痛みが生じやすい

スペースを作ることだけがIPRのメリットではなく、先天的に大きくなっている歯を削ることでバランスを整えることもできますし、ブラックトライアングルを改善することもできます。

ブラックトライアングルとは、歯と歯の隙間と、歯肉に囲まれて部分にできる空間の事で、黒い三角形に見えることからブラックトライアングルと言われています。

ブラックトライアングル

出展元:シグマ矯正歯科

デメリットとしては、歯を削るのはもちろんの事、IPRによって作れるスペースには限界があること、そして、歯肉炎が起きているとその部分で出血や痛みが起こる可能性があります。

以上がメリットとデメリットになります。

5.IPR以外のスペース確保方法

歯を削る以外のスペース確保の方法としては下記の3つがあります。

  • アーチを拡大する
  • 抜歯を行う
  • 歯を後方に移動する

それでは一つずつご紹介していきます。

アーチを拡大する

歯列のアーチを拡大することで、歯が移動するスペースを作り、矯正を行う方法です。

アーチの拡大

インビザラインでは抜歯を行いたくないという人も多く、もちろん症例にもよりますが、そういった方の多くに取られるのがアーチを拡大する方法です。

しかし、アーチを拡大する方法は重度の症例の場合、適用が難しい事もあります。

抜歯を行う

健康な歯を抜き、そのスペースを使って矯正を行う方法です。

重度の症例の場合、小臼歯を抜くことでスペースを作り出し、歯を移動させていきます。

抜歯について

抜歯を行う事でスペースができるだけではなく、噛み合わせの改善や虫歯や歯周病になりにくくなるなどのメリットもあります。

歯を後方に移動する

奥歯を後方に移動することで、スペースを作り矯正を行っていく方法です。

奥歯の後方移動

「歯を後方に移動する」という方法の他に、親知らずを抜いてしまうという方法もあり、親知らずを抜いてから全体的に歯列を後方に下げることでスペースを作る治療法もあります。

以上の3つがIPR以外でスペースを作る方法です。

ちなみに、上記の3つの方法はIPRと併用して行われる事もあります。

6.まとめ

今回この記事でご紹介した事をまとめると下記のようになります。

  • 歯を削ることをIPRと呼ぶ
  • IPRは0.2mm~0.5mm程度、歯を削る
  • IPRはインビザライン治療の中でも比較的良く行われる

歯を削る、といっても虫歯のように怖い思いをする事はなく、ほんの少しだけを削り大きなスペースやメリットを得られるため、非常に良い治療方法です。

その為、もしも歯を削るときが来たら、ぜひこの記事を参考にしてみてください!